幸せに、たくましく生きてほしいなら自己効力感
「先の見えない時代だからこそ、子どもには幸せにたくましく生きていってほしい。」
もしあなたがこんな風に思っているならこの記事が参考になるかもしれません。この記事ではお子さんの自己効力感を高めて幸せに力強く生きていける子に育てる方法をご紹介します。
自然と努力する力は今の時代を生き抜く知恵
自己効力感とは「私なら大丈夫。」と自分を信頼し目標を達成しようとする気持ちをいいます。自己効力感が高まると、結果を恐れずに挑戦し、目標を達成するための工夫や努力を惜しまない子に育ちます。
もしお子さんが積極的に努力できるなら様々な経験から学び、自分の人生を切り開いて幸せに生きていく事ができるでしょう。
実際に、偉業を成し遂げた人を調べると自己効力感が高かったというデータが出ています。発明王と呼ばれるエジソンが電気を発明するまでに1000回の実験をしたことを「1000回うまくいかない方法を発明した。」と言った話は有名です。彼は自己効力感が高かったから、失敗を失敗と思わず挑戦し続けることができたのでしょう。
実はこれからの時代を生きる子どもには自己効力感が武器になります。
東大を出ても就職先がない、就職してもいつまで会社が面倒をみてくれるかわからない、そんな時代になりました。社会の価値観は年々多様化し、競争も変化も益々激しくなっていきます。
そんな時代には失敗をしても過度に落ち込まず、気持ちを早く立て直し変化に対応できる力が必要とされます。自ら目標をたて、それを実現するためのプロセスを楽しみ、行動していける子なら、たくましく生きていけると思いませんか?
そういう力を持った子が自己効力感の高い子なのです。
自己効力感を育てると自己肯定感も育つ!相乗効果
自己効力感が高まると自己肯定感も育ちます。だから「うちの子自己肯定感が低いかも。」と感じていても大丈夫。自己効力感から育てていきましょう。
私のクライアントさんの中には「子どもの自己効力感を育てるうちに自己肯定感も育ってきた!」と報告してくださる方も少なくありません。それはお子さんが挑戦し努力する事を楽しむうちに自然と自信が育っていくからです。
自己効力感が高まると行動力や積極性がアップし、結果に関わらず行動したことに価値を見いだせるようになります。
すると自分のできているところ、プラスの部分に意識を向けて認められるようになるので自分を受け入れ肯定するチャンスが増えるのです。この繰り返しで自己肯定感も育っていくのですね。
そして「さらに満足するにはどうすればいいか?」を考え行動することで、前向きになりさらに自分を受け入れることができるんですね。
自己効力感は未来を切り開く力
あなたのお子さんは、何かをやる前から「どうせ・・」と諦めたり、思うようにできずにイライラして行動を先延ばししたり、失敗することを恐れて二の足を踏んだりしていませんか?
自己効力感が低いと行動力が鈍り、行動できても自分へのダメ出しが多くなり、自分で課題を解決したり、積極的にチャレンジしようという気持ちがおこりにくくなります。
自己肯定感と幸福度に相関性がある事がわかっていますが、もし自己肯定感が高くても何も行動をおこさなければ人生を自分で切り開いていくことはできません。
充実した人生を生きるには行動・努力が必要になるんですね。
そして心が折れずに行動や努力を続けていくには、自己効力感が必要になるんですね。
自分の力を信じていなければ挑戦しようと思えないからです。うまくいかなくても「挑戦することに価値があり、失敗からも学べる。」と思うから、全ての経験が栄養となり、行動し続けることができるのです。
では実際に、日常生活でどのように関わっていけば子どもの自己効力感が高まるのかを見ていきましょう。
子どもの自己効力感を育てる方法
お子さんの自己効力感を育てたいなら、ママやパパの「マインドと言葉」の両方を大切にして下さい。
なぜなら言葉によって私たちは考え行動し、マインドが変われば言葉も自然に変わるからです。
ではまずマインドから見ていきましょう。
子どもの自己効力感を高める親のマインドとは?
能力=生まれつき?
子どもの自己効力感を育てるには次の2つの考え方が必要です。
①人の能力は努力次第で伸ばせる
②生まれつきの個性を活かす
なぜでしょう? まず①から見ていきましょう。
あなたは普段から「あの人は生まれつき天才だから。」という表現をしていませんか?
もし、才能が遺伝子で決まっていて努力しても変わらないと信じていたら努力することに価値が見いだせなくなります。
もしあなたが子どもに自然と努力できる子になってほしいなら、能力は努力すればするほど育っていくものだという認識をもつようにしてくださいね。
一方で、人には持ってうまれた個性があります。生まれつき自然と興味がもてること、夢中になれることは人によって違います。乳幼児の時から、何に興味を示しどんな風に遊ぶかはそれぞれですよね。
何か問題がおきた時にも、自己主張する子、調整役に回ろうとする子、アイデアを出す子、観察する子、いろいろな子がいます。お子さんが自然ととる行動の中にお子さんの個性が表れます。
お子さんが何かに没頭している時、自分からそうしたいと思って行動している時は、やる気に満ち失敗してもやり続けようとします。
つまり、お子さんが自分の個性を発揮しようとしている時は自然と自己効力感が高まりやすくなっているのです。
お子さんが何かに夢中になっていたり、自発的に動いている時は自己効力感を育てるチャンスです。それが個性を活かし強みを磨いていくことにもつながります。
視点を変えるだけで子どもは伸びる!
お子さんの親が「短所」「問題だ。」と感じている気質も裏返せばその子の強みが見えてきます。
頑固な子は信念が強いし、気が弱い子は人を思いやる心があるのです。「うじうじ悩む」のは熟慮する力があるということ。「反抗心が強い」のは自己主張ができるということ。
このように一見マイナスに見えるお子さんの性格も、プラスにとらえてそれを言葉にして伝えてあげてください。
「あなたには〇〇ないい所があるんだよ。」と説明される(言語的説明)と自己効力感が高まるからです。
人は他の人からかけられた言葉で自分に対する自分のイメージ=セルフイメージを育てていきます。
親が子どもに「ダメな子」「問題のある子」だと思って接すると、その子は自分はそういう人間だと低く見積もってしまう可能性があるということです。
お子さんを育てていて「困ったなあ。」「嫌だな。」「問題だな。」と思う所があれば、それをプラスにとらえていくことはできないかな?と意識してみてください。
子どもの自己効力感を高める親の声がけとは?
では具体的に子どもの自己効力感を高める声がけをご紹介します。
プロセスに着目する
努力する子に育てたければプロセスを褒め、本人の中で比較をすることが大切です。
今日の自分と昨日の自分、今日の自分と先月の自分、今日の自分と一年前の自分。自分の中でどんな変化があったでしょうか?人と比べるのではなく、子ども自身の歴史の中でどう変化しているかに着目するのです。
「昨日より計算が早くなったね。」
「一ケ月前に比べて手つきがよくなってるよ。」
「去年と比べて自分の意見を上手に言えるようになったね。」
時にはお子さんの成長ぶりが気になり他のお子さんと比べてしまう事があるかもしれません。また表面的な事にとらわれテストの結果や成果などで評価したくなるかもしれません。
けれども大事なのは本人がどんな風に物事にとりくみ、どんな風に上向きになっているかをみつけ、それを言葉にすることです。
人によって成長のプロセスが違います。
不器用だけどじっくり努力して大成する子もいれば、器用にこなし順応性の高い子もいます。少しの失敗から学ぶ事もあれば、手痛い目にあってはじめてわかる事もあります。
努力してすぐに結果がでない事もあるし、取り組む内容によっては時間がかかる場合もあります。だから人と比べず、結果で判断せずに、プロセスを認めることが大切なのです。
興味をもって子どもを観察!感覚をシェア!
プロセスを重視し、どんな姿勢でどんな思いでとりくんでいたかをみてあげるにはどうしたらいいでしょうか?
お子さんに興味をもって話をきき、よく観察し、お子さんの心に寄り添い成長を感じ取ることが大切です。
子どもは成長段階にあるので、微妙な気持ち、曖昧な感情を上手に表現できないこともあるでしょう。
また、思うような結果がでずに悔しかったり、悲しかったりして弱音がはけないこともあるでしょう。
けれど、本来人は自分のことを理解してもらいたいと思う生き物です。そして子どもたちはママのことが大好きですから、心の底ではママに自分の思いを汲んでほしいと思っているのです。
だからよく観察してください。子どもの言葉も大切ですがそれが本心かどうか、子どもも自身もわからない場合があります。
もしママが子どもの気持ちに寄り添い、頑張ってきた過程に理解を示し、「そんな気持ちだったんだね。」とシェアしてくれたら、それでお子さんは自分が認められたと感じて安心できるのです。
そしてそれだけでなく、「次からはどうしたらうまくいくか?」と気持ちを前に向けることができるのです。
また成功した時も、結果を褒めるのではなく「こんなところで工夫した。」「頑張ってできてよかった!」「しんどかったけどやり遂げた。」という気持ちに寄り添ってあげましょう。
その思いをシェアしてもらえることで、お子さんはそのプロセスから「うまくいくコツ」をつかみ、次に活かそうと思えるようになるのです。
困った事がおきたら・・現実的な行動へと導く
脳は質問をするとその答えを探しにいくという習性があります。
それを利用してこんな問いかけをしましょう。
①どうしたいの?
②どうしたらうまくいくの?
③どうしよう?
①ゴールがないと走れないのと同じように、何か問題を解決したり目標を達成したいときは具体的なゴールを設定することが大事です。
上手くできない事、困っている事、もっと上手にできたらいいと思っている事があれば、どうなったら本人が満足できるのかを聞いてあげましょう。
②「どうしたらうまくいくの?」とお子さんが考えるられるように声をかけましょう。うまくいかない時は「なんでできないの?」と言いがちですがそうすると脳はできない理由や言い訳を考えはじめます。
「どうしたらうまくいくの?」と言えば、その対策もでてきます。「なんで?」という口癖は「どうしたら?」に変えていきましょうね。
③目の前の問題を解決していくためには何をすればいいのかお子さんに考えてもらいましょう。
もしそれが無理なら選択肢の中から選んでもらう、親子で話し合うなど、自分で選ぶ機会を増やしましょう。
なぜなら人から命令指示をされ続けることでやる気がダウンしていくからです。
人間は自分で決めたことに従いたい生き物です。自分で決めたことは他に事情がなければやり遂げようと人は思うものです。
また、命令指示が過度になると、幼い頃はよくても自我が目覚めるとともに反抗心が急に強くなったり、親に依存し自分で何も決められない自分に戸惑うなど、何かしら問題がでてきます。
小さなうちから自分できめさせてもよいと思うことはできるだけ子どもに考えさせましょう。
子どもの自己効力感を下げる親の言動と対処法
親の考えをおしつける
親の考えを押し付けると、自分の人生を自分で切り開くという感覚が育ちません。
それでも長く生きて色々な経験をし子どもの幸せを思うからこそ、伝えたい考えや大事にしてほしい価値観があると思います。
そんな時にはこれを意識してください。
子どもにも親にも余裕があって問題がない時を選んで、「ママは〇〇ということが大事だと考えているの。なぜかというと・・・な経験をしたからよ。」
人は自分自身に余裕がない時は人の意見に耳を貸すことができないので、お互いに余裕のある時を選びましょう。そしてなぜあなたがそういう価値観を持つに至ったか、子どもの心に響くように伝えていくことです。
子どもの気持ちを汲まない
子どもは親から受け入れられ、家庭が安全安心な場であると実感できると健全に成長できると言われています。つまり子どもの気持ちを汲まなければ、自己効力感も育ちにくいのです。
だから子どもの気持ちを汲み取ろうとすることが大切です。全部理解できなくても、子どもの気持ちに同感できなくても構いません。
「そうなんだ。」と目をみて聴いてあげることが大切です。
完璧を求め失敗を責める
真面目なママほど教育熱心で、子どもにあれもこれもと色々な事をやらせようと躍起になるケースがあります。
色々な事に挑戦してみるのは悪い事ではありませんが、ノルマを課し、完璧を求めると子どもは疲弊してしまいます。
「ママに認められようと思ったらそんなに大変な思いをしないといけないんだ・・。」「うまくできなかったら怒られるかも。」とプレッシャーを感じ、やる気が削がれていきます。
もし頑張っても完璧でないことを叱られると、子どもからすれば「一生懸命頑張ったのに今までの努力は価値がなかったのか。」と思うことになりかねないのです。
完璧を求めることはプロセスを否定することにつながり、努力することが大切な事だと気づけない子になっていってしまいます。
できているところをみつける、次にどうしたら改善できるのか考えるようにし、子どもにとって適度な緊張感をもって取り組めるあたりに目標を設定しましょう。
評価する
褒められると嬉しいものですね。性格や気質、取り組む姿勢は十分褒めることはいいことです。「よく気がつくのね。」「いつも優しい言葉をかけてくれてありがとう。」「すごい集中力だね。」
けれども結果や成果を褒めると、成果がでない時に自分を無価値だと感じてしまう可能性があります。
「算数天才、すごいね。」と言われていると、もし将来難しい問題で躓いた時に心が折れそうになるかもしれません。
「算数好きなんだね。楽しそうに解いているね。」と言われていると、楽しむことに意識がいくようになるので結果に関わらず、マイペースで努力ができるようになっていきます。
評価することで「親に認められる事が大事。」という意識が芽生え、それがマイナスに働くこともあることを知っておいてください。
子育てのゴールを設定して伴走しよう!
ここまでお子さんの自己効力感を高めて、幸せにたくましく生きる子を育てる方法をご紹介してきました。
けれども一番大事なのは「子育てのゴール=どんな子に育てたいか?」をママやパパが理想をちゃんと設定することです。そうすれば子育てでの優先事項が自ずと決まっていきます。
もしあなたがお子さんを自己効力感の高い子に育てたいなら、ママやパパ自身が自分の自己効力感を高めておくことが大切です。
なぜなら人間にはミラーニューロンという脳のしくみがあり、身近にいる人のやっていることを真似ようとするからです。パパとママが自己効力感が高く、うまくいかない事があっても、前向きに解決し、自然と努力をしているならお子さんもそういう性質を吸収していくことができるのです。
そして、子育ては子どもが育つためのサポートです。だから親ではなく子どもが走者で主人公。よき伴走者であるかという視点も忘れないでくださいね。伴走者も完璧を目指さず、時には休み、時にはのんびり歩くことも走り切るコツの一つです。
子育てで悩んだり、辛い事があっても「今日はこんな事を頑張れた。」「うまくいかなかったけどそんな日もあるよね。」と自分を認め応援しながら、お子さんをしっかり観察して、気持ちをシェアし大切な時間を積み重ねて、親子で成長できたらいいですね。
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